テレビでている超有名カメラマンのアシスタントやっていたけれど、
月給三万だった。年金払ったら食うものがないし、
カメラマンの私生活の雑用までも押し付けられて、
寝る時間も一日2,3時間くらいしか無かった。

なにがキツイって、
空腹でも体調でもなく、罵詈雑言を受けることでもなく、
その人は有名なんだけど、撮影の腕がまったくないんだ、
テレビや公演、雑誌の審査員で忙しいけれど、下手くそなんで撮影自体は月に一回あるかどうかだ。

世間では人格者だっていわれているけれど、いつもアシスタントにとって魔法の言葉を吐く
「だって、カメラマンになりたいんだろう、ここやめたら業界いられないよ」
そういわれると辞めたくても辞められないじゃないんだよ。

ほんとうに何年も無駄にした、
ほんとうに全部が無駄だった。
夢なんかみなければ良かった。

男気のある雑誌の編集長から、ここいたら潰れるから早く辞めなさいともいわれた
あと面倒みてやるからとも、
もう、第三者からみても哀れな状態だったんだろう。

夢は、全部捨てた。それ以来好きな写真は一枚だって撮れていない。

俺は業界から姿を消したあと、日雇いの仕事しながら自分で勉強してなった。
有名じゃないが、アシスタントを食いつぶすようなことはしないし、
なにがあっても全員、食い潰れないくらいの腕前には育てた。