オイゲン・ヨッフムのような音楽家は、もう現れることがないのかも知れない。
常に謙虚で、自己を作品よりも上位に置いて表出するということをせず、ひたすら音楽そのものに内容を語らせようという姿勢。
特別な装飾を施すことなく、恣意的なコントロールも一切加えていないのに、スコアを深く掘り下げた解釈が曲に内包された意味を浮き彫りにし、彼がひとたび指揮台に立てばオーケストラからは無尽蔵とも思えるほどのニュアンスがあふれ出す。
これこそが彼の神髄であり、逝去すると急速に生前の名声を失う音楽家も少なくない中にあって、むしろ歳月を経るにつれて評価がより高まってきていることも頷ける。