佐村河内守の作品を演奏するにあたって重要なのは、どんな版の楽譜を使うか、である。作曲家
本人の手による第1稿、通称「指示書版」は内容があまりに分かり難く、この状態では演奏するの
は困難とされてきた。そこで新垣隆によって校訂された第2稿、通称「新垣版」が広く使用されるよう
になった。ただ、最近の原典尊重主義の観点からやはり「指示書版」で演奏すべき、と主張する大
友直人のような指揮者も現れ、版の問題はこれからも論議を提供しそうである。

                                    (音楽評論家:虚 光俊)