この本には25曲の名曲が取り上げられている。
その半分近くが、バッハ・モーツァルト・ベートーヴェン。
そして、その他は1人1曲。クラシックの王道を行く選曲だ。
1人だけ例外があって、2曲取り上げらているのがシューベルト。
百田には特別の思いがシューベルトにはあるのかもしれない。

<私は他人から「ベートーヴェンは好きではない」と言われても
別に腹も立てないが、「シューベルトのどこがいいのだ」
と言われたら、そいつとは友人にはなりたくない。>p.92

と述べ、友人には滅多に聴かせないらしい。
シューベルトファンには共感を覚える人も多いのではなかろうか。

そして、百田は手短にシューベルトの人となりを紹介する。
まあ、ブックレットや解説書の中にありきたりに
書かれている類のものである。
それらの中で、シューベルトが「速筆」であったことを
無邪気に強調している箇所は、特に気になった。
「速筆」は、暗にベートーヴェンのようには
「推敲しない」ことを揶揄するために取り上げられる
ことの多い逸話なのであって、シューベルトファンなら
それにカチンと来て「速筆だが充分推敲されている」
ことをも忘れず書き加える筈なのだが・・・・。

百田は、はたして上記引用部分のような、
シューベルト大好き人間なのだろうか?