P.206 私は権力者の田園と呼んでいる。1982年11月の録音。ベルリン、
フィルハーモニー、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 交響曲
第6番 ヘ長調 作品68《田園》このOIBPの録音の最終楽章は秘密がある。
第2楽章も見事。フルトヴェングラーかカラヤンか ヴェルナー・テーリヒェン
P.206 例えば『田園交響曲』の第二楽章「小川のほとりの情景」のカラヤンの、
まるで「この世はすべて事もなし」と言わんばかりに落ちついた流麗な指揮ぶり
が眼の前に浮かんでいるとき、突如としてフルトヴェングラーの姿が私の
想像の中に割って入り、このような静穏な箇所でさえ湧き起る彼の強烈な
感情の多彩な展開で私を驚かすことがある。この楽章を書いたときのベートーヴェン
はどちらの気分でいたのだろうか。
新版 不滅の名曲はこのCDで 志鳥 栄八郎 田園のデジタル盤について。
この曲は、特に標題音楽というわけではないが、各楽章には、「小川の
ほとりの場面」などといったベートーヴェン自身の書き入れた題がある。
カラヤンは、そうした標題的性格を、実にあざやかに描出しており、その
語り口のうまさには、舌を巻く。ことに、後半の休みなく演奏される三つの
楽章をしだいにもりあげていくその劇的迫力はすごい。ベルリン・フィルの
卓越した合奏力もみごとで、録音も優秀。