【世界で一番クルリンパに満ちた交響曲】

他ジャンルから果敢にクラシック音楽にチャレンジする人がいる。
ポール・マッカートニーがそうだった。ロイド・ウェッバーもいた。
世界中に存在するすべてのそういった作品を聴いたわけではないが、
知っている範囲でよいというなら、岸田繁の交響曲が一番だ。

クラシック好きだった父親の影響で岸田は幼少の頃からクラシックに親しんだ。
バルトーク、ショスタコーヴィチ、ブラームス、はてはロックまで多彩な音楽が
融合・昇華して岸田は独自の交響曲を生誕させた。

いったい、こんな交響曲を書く岸田繁とはどういう作曲家か。
彼は1976年京都に生まれ。立命館大学でバンドを結成、その後ウィーンで
聞いたアーノンクールに強い感銘を受けたという。

楽壇のややこしい人間関係などに巻き込まれることをよしとせず、交響曲は
独学の道を選んだ。人々はあまりにも物質的に豊かになり、刹那的な快楽で
満足している。それは日本の若者を見てみればわかる。夢も希望もないのだ。
いや、必要ないのだ。救いを探し求める気持などないのだ。日々を適当に
おもしろおかしく生きて行ければいいだけだ。

だが、岸田繁は違う。彼には交響曲が必要なのだ。
クラシックが必要なのだ。この曲は作曲者にとってまさに命がけで書かれた
のである。もしあなたがこの文章を読んでこの曲が聴いてみたいと思うなら、
そしてそういう人が増えれば、私は嬉しい。
私はただそれを願うのみである。