「大地の歌」のコンサートを楽しんでホールを後にすると、急に腹が減ってきた。
・・・
「よし、店を探そう」
しばらく歩くと悪太飯店なる中華屋を見つけた。
「マーラータンメン、人気です」とある。
この前、精神性の低いタンメンを食べさせられた上にぼくという人間を侮辱され、
さんざんな目に遭ったが、この店は店名がいかにも信頼できそうだ。
早速店へ入り注文すると、一見何の変哲もないマーラータンメンが出てきた。
カラヤンファンなら見た目だけで判断してしまいそうだ。
熱々のタンメンをー口すすってみる。
なるほど、こう来たか。
こりゃ猛烈な辛さの灼熱地獄だ。
生きているのがイヤになるほどの強烈さだ。
舌も鼻もひりひりする。
どっちへ転んでも逃げ場がない。
まさに「生も暗く死も暗い」。
しかし辛さの奥から何とも言えないコクとうま味があふれ出してくる。
「大地の歌」第1楽章、そして最終楽章の中間部、弦楽合奏によるこの世のものとは思えない甘美な響きのような
極上の陶酔、生への憧れがここにある。
いいじゃないか、いいじゃないか。
悪太飯店のマーラータンメン、やるじゃないか。
まるで永遠に食べ続けられそうなタンメンだ。
悪太飯店の場合、マーラータンメンの本質をワシづかみにしているため、
きれいごとではない素朴な豪快さが宇宙の鳴動となり、壮大な讃歌となるのであろう。
いかにも温厚そうな店主が、「いいショーコー酒ありますよ」とすすめてくれたが、
「いえ、飲めないんで」と断ると、
「いかにも飲めそうな見かけなのに」と残念がって、
温かいウーロン茶と奥さんお手製の杏仁豆腐を出してくれた。
これぞお母さんの愛情といった優しい甘さだった。
「ごちそうさまでした」
精神性と優しさ、愛情にあふれた悪太飯店、また来ようといえよう。
コーホー♪コーホー♪ウノイサオ、フー♪