オーケストラが勝負曲として挑む傾向を強めているのがマーラーの交響曲群だ。
2018年に来日した海外の名門オーケストラの公演内容を見るとマーラーの交響曲をいかに好んで取り上げているかが分かる。
サイモン・ラトル指揮のロンドン交響楽団が「第9番」ダニエル・ハーディング指揮のパリ管弦楽団が「第1番『巨人』」などといった具合だ。

NHK交響楽団が創立90年の17年に4年ぶりの欧州ツアーをした際にもマーラーの「交響曲第6番『悲劇的』」を主要演目に据えた。
全4楽章構成の古典形式を守りながらも第4楽章では襲いかかる悲劇の一撃を表すようにハンマーが2回振り下ろされるなど多様な楽器を使った大編成のオーケストラが劇的展開を繰り広げる約80分の大作だ。
N響首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィ氏は「バッハを含むドイツ音楽の最終的な形…頂点……それがマーラーの交響曲群」と欧州ツアーに向けて主張していた。

マーラーの通し番号付きの交響曲は「第1番『巨人』」から未完成の「第10番」まである。
番号なしの歌唱付き大作「大地の歌」も含めれば計11作品に上る。
「大地の歌」は作曲順でいけばマーラーの「第9番」になるはずだったがベートーベンやブルックナーが「第9番」を書いて没したという「第九の呪い」を嫌って番号なしにしたとの逸話もある。
演奏時間は1時間を超すものがほとんどで「第3番」は100分にも及び19世紀末の作曲当時では最長だった。
最も短い「第4番」でも約55分かかる。