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新年恒例の行進曲変わる? ウィーン・フィルが楽譜一新

ウィーン=吉武祐 2020年1月1日17時00分  朝日新聞デジタル

写真・新しい「ラデツキー行進曲」の楽譜を使い始めたニューイヤーコンサートのリハー
サル=2019年12月27日、ウィーン楽友協会、吉武祐撮影

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が元日のニューイヤーコンサートで演奏するヨハ
ン・シュトラウス1世作の「ラデツキー行進曲」の楽譜が、今年から一新される。アンコー
ルの最後での手拍子は毎年の恒例となっており、クラシックファンにはおなじみの曲だ。
楽譜の一新には、ナチスが絡む歴史との決別の意味が込められている。

 これまで使われてきた楽譜は、オーストリア出身の作曲家レオポルト・ベーニンガー
(1879〜1940)の編曲による1914年版。ベーニンガーは32年、隣国ドイツ
で台頭していたナチスに入党し、党の文化・音楽活動に協力したことで知られる。

 楽団長でバイオリニストのダニエル・フロシャウアーさんによると、「ベーニンガーの
楽譜を今も使っているのか」という質問を受けることがあるといい、対応を考えるために、
楽団が楽譜や記録を詳しく調べてきたという。

 その結果、楽譜は戦後になってパートごとに手書きで書き加えられており、打楽器パー
トがかつてのシュトラウス楽団が演奏した通りになっていたり、いくつかの楽器が演奏さ
れていなかったりすることがわかった。現在演奏されている音楽はベーニンガーのもので
はなくなり、時を経てウィーン・フィルの音として完成されていた。

 そのため、楽団内で話し合い、過去に書き加えられた内容を反映して楽譜を一新するこ
とを決めたという。フロシャウアーさんは「ベーニンガーの名前を除くことが重要だった」
と語る。ドイツなど欧州では「非ナチ化」として話題になった。楽譜が一新されても、演
奏される曲の聞こえ方に大きな変化はないという。
(つづく)