大先生は比較的裕福な家に生まれ、幼い頃にヴァイオリンに興味を示したので、親が買い与え、おとなしく真面目にヴァイオリンのお稽古をしたので同世代の子らより上達した。 
少年時代はなに不自由無く育ち、
国立の大学、大学院に進み海外留学もして帰国しようと思っていたら、
ある国でヴァイオリンの才能に目を付けられて
ユダヤ系の元オケメンバーの老人にオーディションを受けてみないかと誘われ、
一流どころのオケのトゥッティの試験を片っ端から受けて、最終選考に残ったオケもいくつかはあったが、結局は全て落ちて失意のもとで帰国。
当分は親と同居して遊んでいたが、何もしないのも穀潰しだと思い至り、知人の紹介であるアマオケのコンマスのバイトを紹介され、
暫くはコンマスをやりながらオケの指導をしたが、金にはならず親からの金で遊んでいた。 飲むうつ買う一応はやっだが、このままでは穀潰しどころか精神を侵されると思い、
ある大学の非常勤講師になった。ここで初めて元もとの専攻を活かす事にはなったが、 
対面上家庭を持たねばと結婚。子宝に恵まれるが、子供が幼くして病気で亡くなり、 
妻とも上手くは行かず離婚。間もなく両親も高いして天涯孤独となる。
出世とは無縁で、常勤にはなったが講師止まりだった。つい最近退官し、
今は某市でワンルームマンションで独り暮らしをし、もうヴァイオリンはケースが埃を被って弾いては居ない。
めったに外出もせず、多少の退職金と年金で寂しく暮らしているがプライドは高いもののそれを誇示する相手もおらず、
自分が不遇であったことと対象的にヴァイオリンの腕は無かったが世間から尊敬された朝比奈を叩くと快感が得られる事に気づき、
古いパソコンで日々朝比奈叩きをしている。
これといった趣味も今は無い。