モンテカルロ、山田と藤田は大体ステージマナーからしてなってなかったな。

藤田は演奏中の姿勢もひどいが、プレトークで舞台に現れた時点で一種異様な雰囲気を漂わせていた。
猫背でうつむき加減、ダラリと垂れた両腕に焦点の定まらない小さな目。
あまりに覇気のないフラフラ歩きに「どうした、彼女にでもフラれたか?」と声を掛けたくなった。
他にもいちいち指摘したらキリがないが、お辞儀、「デン助人形」みたいに頭だけカクカクさせるのは卑屈に見えるぞ。

40年近く前にクラウディオ・アラウ最後の来日公演に行った。
アラウは80代半ばだったが、立っても座っても終始背筋がピンと伸びていた。
ピアノも「この姿勢にしてこの音」、実に深く美しく、温かく高貴な音色だった。
無論、プレトークなどしなかったが、まさに演奏がすべてを語っていた。
雑誌のインタビューで、ラフマニノフの第2協奏曲について「あれはただの映画音楽、あんなもんワシは弾かん!」
と一刀両断していたが、それさえ「この信条・哲学ゆえの大ピアニスト」だと思〜された。