​先生が俊爽の才、鋼鉄の韻を鳴らして時代を震はすや、北方の厳寒、戦塵の間に赤き旗の翻るを視るが如く、先生が清超の思、諧謔を弄して悲憤に入るや、凍てつく広野、落日に嗚咽して万民の呻吟を聴くが如し。
​其の管弦の、雷霆を落とすよりも烈しく、其の旋律の、断腸の思いよりも悄然たるは、巳に天下の伝称する所、我等亦多言するを須ひずと雖も、其の赤色専制の劫火に二十世紀の受難曲を刻み、偽は仮面の凱歌よりも虚しく、真は氷下の沈黙よりも勁き不屈の音宇宙を現出したるは、嘗て西域楽壇の一代の壮挙たるのみならず、又実に百世に炳焉たる東西芸苑の盛観と言ふ可し。