フルトヴェングラーが遺したベートーヴェンの「大フーガ」(弦楽四重奏曲作品133の弦楽合奏版など)の演奏は、音楽史において非常に重厚で独自の解釈として語り継がれています。その主な評価や特徴は以下の通りです。

1. 圧倒的な構築力とドラマ性
フルトヴェングラーの演奏の最大の特徴は、個々の音符を細かく鳴らすこと以上に、
曲全体を巨大な一つの建造物として組み上げる圧倒的なスケール感にあります。

「大フーガ」のもつ荒々しい不協和音や、激しく交差する対位法の緊張感を、
単なる「前衛的な実験音楽」としてではなく、ベートーヴェンの魂の叫びや壮絶な葛藤として描き出しています。

音の厚みと彫りの深い表現力によって、聴き手に強烈な心理的インパクトを与える演奏として高く評価されています。

フルトヴェングラーが指揮した1952年のベルリン・フィルによるライブ録音などは、その激動の表現や独自の響きから、
今なおクラシックファンや指揮者たちの間で語り草となる重要な演奏の一つです。

2. 「弦楽四重奏曲」から「弦楽オーケストラ」へのアプローチ
本来は4人の奏者による弦楽四重奏曲であるこの曲を、フルトヴェングラーはしばしば弦楽オーケストラ(あるいはコントラバスを加えた編成など)
の規模で演奏・録音しました。