東京某所、広大な敷地と花々や草木が生える庭園、貴族の邸宅を思わせる壮麗な建築物。
正門には何やら賑やかな声。
シニヨンに同じスクールバッグを肩から下げる独特な雰囲気を放つ少女たちに目が引かれる者もいるだろう。

黒崎バレエアカデミー。
設立から120周年を迎える歴史と伝統ある日本のバレエ学校である。
ロシアの名門バレエ学校とも繋がりが厚く、ロシアバレエを本国の未来のダンサー達に伝える重大な役目を担う存在でもある。

その学校の卒業生には国内外問わず有名バレエカンパニーに所属し活躍するダンサーも少なくない。

そんな黒崎バレエアカデミーであるが、そこに通うもの全てが栄光に与れるわけではない。
努力と才能、素質…それらを兼ね備えたほんの一握りの者のみが選ばれる世界だ。
もしも選ばれた者であるならば、ここには十分な環境が整っているといえる。
それ以外の者は金になるだけ。

残酷なもので、学年ごとにレベル別にクラス分けがなされ、Aクラスより下は養分も同じ。
そして大人初心者クラスも養分同様であった。
素質や将来性の無いものに端から格式高い古典バレエの真髄を教えるほど無意味で冒涜的なものは無い。そう謂わんごとく。