なぜ、政治的な忖度が生じるのかを考えてみよう。それは、そこに忖度するエージェント、
あるいは利益相反に関わるエージェントや組織は、意味を解する主体だからだ。そのため、
そこに意味を恣意的に自分に有利になる方向へ歪めるという人為や不正、利権誘導が
生じることになる。

こうしたエージェントを意味を解しない、シンタックス的な形式的処理だけを
専ら行う人工知能に代替させることで、リソースの不公平な差配は防げるはずだ。
要は人工知能に実装するモデルにこうした恣意性が介在しないようなアルゴリズムを
用意できれば、生身の忖度政治家よりは良い社会が構築出来る可能性が生じる訳だ。

東浩紀が「ルソーの一般意志」という概念を著書で紹介したことがあったが、
今の政治は国民の一般意志を代表しているとは到底考えられないし、政治家自体が
世襲で不公正な地盤から生まれているので、そういう歪んだ土台を含めた不公平さをも
捨象した真の公平と平等を目指す社会変革がこれから求められていくはずだ。
一般意志が意味を問うことなく、すなわち忖度することなく、適切に計量できる性質の
定量化モデルとして実装できるのであれば、それは既存の泥臭い土着利権誘導型の政治
とは異なる、抽象的に洗練された未来の政治システムのモデルを提示している、と言えなく
もないだろう。この方向で哲学を構築することは、レトリック擬似哲学で時間を無駄に
するよりも、余程、実り豊かな行為となることだろう。