● グーグルやアップルの社内に哲学者

一方、企業も哲学を放っておかない。例えばグーグルやアップルは最近、著名哲学者を
「イン・ハウス・フィロソファー(顧問哲学者)」やフルタイムで雇用して話題を呼んだ。
哲学は、われわれの想像以上に“稼げる”学問なのだ。そこには、データの裏付けもある。
米国の専攻別の学位取得者の年収調査で、哲学は、新卒時からミドルキャリアまでの
年収中央値の伸び率が103.5%と50専攻中、数学と並んでトップである(平均は69.2%)。
絶対額でも人文系1位で、平均の約7万4700ドルを上回る

そもそも、米国において、哲学には優秀な学生が集まっている。ビジネススクール入学の
適性試験GMATで、哲学専攻の学生の成績は文系トップ。ちなみにロースクールの
適性試験であるLSATも同じ結果だ。つまり、文系最強のエリートが集う専攻の一つが、
哲学といえるわけだ

こうした哲学への高い評価は、米国だけではない。フランス・パリ第10大学で哲学を
学んだ史上最年少の同国大統領、エマニュエル・マクロンも受験した、フランスの大学入学
資格試験「バカロレア」は、文系理系ともに哲学が必須科目。またオックスフォード大学の
看板学部PPEは哲学、政治学、経済学の英語の頭文字だ。欧州のエリートにとって、哲学は米国以上に尊ばれているさえいえる。

だが、なぜ哲学がこれほど重視されるのか。その理由は、哲学の修得があらゆる学問の
“ベース”をつくると同時に、ビジネスをはじめ答えのない課題に立ち向かう“スキル”を
身に付けることができるからだ。哲学から得られる武器は二つ。すなわち応用性の高い思考力と、
それを補完する2500年の歴史を持つ賢人たちの知恵である。この二つを合わせて初めて、
哲学が実学としての武器になる。