村上春樹の読者層を勝手に算出すると、同時代人(シックスティーズ)、小説を好む人、「愛の法則」に傾倒している人、愛の法則に回収されないモノを抱えている人。
絵本や児童文学を読む人、宗教家、文化人や知識人、などであり、敬遠する人は僅かに自己陶酔を毛嫌いする人に留まり、
圧倒的多数の人読者を抱え、それが世界規模で見れば東野圭吾や司馬遼太郎(国内の売り上げでは負けるが)などを凌駕する。
村上春樹の特徴は正にシックスティーズという時代が生んだ寵児であった。彼は私の父親と2歳しか違わず、もちろん父よりも社会も文学や哲学など智悉しており、何よりノモスに回収されない部分を表現するのが上手い。
「納屋を焼く」やその続編に見られる、人類の価値とその裏にある「愛」に回収されない暴力的で「呪われた部分」を表現した作品だが、
あれは言うなれば実験的な小説であり、村上春樹も半信半疑な人間の性であると言っていいだろう。「ねじまき鳥クロニクル」の綿谷ノボルや「海辺のカフカ」の猫ゴロシも村上春樹にとってははっきりと掴んだものではないだろう。