Hashimoto
イラン出身レザ・ネガレスタニの"Cyclonopedia"をぱらぱら読む。
導入部(とうっすらまとっている外殻)だけはホラー小説。中身は「ぼくがかんがえた世界の謎」というか、
妄想しちゃったものを架空の思想書という体裁で全て吐きだした本。

いかにもなホラーやメタフィクション風味(著書を禁書にされた狂える学者が残した文という設定)にすることで、
イラン周辺の歴史・政治・文化・宗教を好き勝手に読み解いている。太陽信仰と石油あたりが核。
言語や宗教の共通性を挙げて、MMRばりのトンデモ理論を確信犯的にぶち上げたり。

式や図で表わされた世界観モデルが訳わからん。/主柱はドゥルーズ&ガタリ、とくに戦争機械関連。もう一本、
やや細い支柱としてクトゥルー神話がある。後半にウェルベックのラブクラフト論からの引用などもあり。
きっとこれらに影響を受け、著者は自分も妄想で世界を揺るがしたくなったんだろう。
2011年7月11日

2010年代の前半に暗黒の思想みたいなブームがあり、
ミエヴィル、エヴンソン、ヴァンダミアといった小説家たちがレザ・ネガレスタニに言及していたんですよ。
ネガレスタニは2014年にニック・ランドと対談イベントをするくらい、この潮流の中核で。

ランドとネガレスタニの著作を参考文献にしたHR/HM論Melancology: Black Metal Theory and Ecology (2014)や、
ウエルベックのラヴクラフト作品ベスト8を使ったユルい思想書Weird Realism: Lovecraft and Philosophy (2012)も
波に乗って出ていたが、私は哲学研究者たちの遊びだと見なしていた。

私は嫌悪や虚無や諦念に満ちた小説と音楽に共感する人間だけど、
Speculative realism暗黒派?みたいな動きがオルタナ右翼にこう接続してしまうのはショッキング。
ランドの文章には直接触れてないので何も言えないが、周辺のものは無邪気に消費してきたし、
この展開は予測していなかった。
2018年8月25日