「へつらふ」の「ふ」は、行為の「反復」を表現しているだろうか。
私にはそうは感じられないが、「反復」を表していると感じる人が
いても不思議ではない。だが、「つりあふ」であれば、「あ・ふ」という
形をとることによって明らかに「つる」作用の「相互性」を表すこと
になる。さらに、「あげつらふ」はどうだろう。岩波古語辞典では、
「あげつらひ」は、「あれこれ言い合う」ことを意味するとして、
相互性を表すように説明されている。「言ふ」、「食ふ」、「吸ふ」
などはどうだろう。既に何度も指摘してきたことだが、私は、この
「ふ」は、再帰表現を作るための中国語の「复(復)」の流用であり、
反復を表すようにも、再帰を表すようにも、相互性を表すようにも、
反転を表すようにも、用いられていると考えている。少なくとも、
この「ふ」の用法を「反復/継続」を表すものと限定することは、
極めて不自然だろうと思う。