だから、もし、完全な非存在という系がこの宇宙に全く存在しないとなると、
べネターの生まれないことの利点という議論そのものが机上の空論となり、
どうしようもないことになってしまう。せいぜいできることは、自分の子供を
作らないことくらいで、誰かの子供や他の動物の子供は相変わらず生まれ続けて
しまうことは変えられない。

なぜなら、なんらかの生命系に強制的に常に誕生させられるのが生命系の
宿命や論理になっているのであれば、やはりそこには苦や不快が影のように
死ぬまで付き纏うので、完全な非存在による無苦などはない、ということに
なってしまうからだ。

こういうケースの場合は、効用や功利主義の観点で、いかに苦や不快をやり過ごすか
という方法論へ焦点をあてた方がむしろ賢明なスタンスになるといえるだろう