>>967(つづき)
これまで私はいろいろなことを言ってきましたけど、
たぶん普通の人はほとんど覚えていないだろうと思うのです。
何しろ私自身も覚えていないくらいですから当然です。

それでもひとつだけお土産に持って帰ってもらえるのであれば、
是非とも例の「誰もいない森の中で木が倒れたとき、音はするのか」
という話がおすすめです。
結論を言うと、音はしない、というのは音は意識の中にあるものだからです。
意識の外側で音が鳴っているわけではない、
空気の振動か何かを音に変換するシステムが無ければ音は無いことになる
という考え方です。
意識の中にある音は、認識上、神経を伝ってくる電気信号を変換したものです。
これは光も味も匂いも感触も同じ、もとは同様の電気信号です。
少なくとも意識の外側に感じる通りの世界がある必要は無い、
認識されている世界は、仮にそのまんまが意識の外側に存在していたとしても
それ自体は冷蔵庫の中の明かりのように扉を開けた瞬間に意識の中に現れるものです。
認識されている世界は、外部が内部に反映しているものではなく、
内部から外部として投影されているもの(つまりあくまでも内部にあるもの)
のように見えます。
そして意識のハードプロブレムや素粒子とか生物とかの謎は
そのような前提に基づいたときに解明される可能性がある
ように私には思えるのです。
あらゆる現象は、たとえば量子のもつれとか生物の進化などは、
私たちにとっては意識の外側で起こっている以前に
意識の内側に現れていることのはずだからです。