「我慢せず、喧嘩しては」と提案するのは、首都大学東京教授で社会学者の宮台真司さんだ。
自身にとって大切な人間関係の多くは、喧嘩で始まったという。映画監督の園子温さんと親友になるきっかけもそうだ。
「ロフトプラスワンで行われたイベントで、罵倒のし合いになり、『よし、外に出ようじゃないか、このやろう!』となった。
主催者さんが止めてくれてイベントを続行しましたが、それから、園子温から出演依頼が来るようになったんです」(宮台さん)
 ただし、「喧嘩には作法がある」という。喧嘩をするに足る相手を選ぶこと。信頼できるギャラリーを設けること。そして、決してやりすぎないこと。
「ギャラリーが止めてくれないと、本当に殴り合いになって困るでしょう(笑)。
喧嘩を買うことで、相手の信頼度も上がるし、やりすぎるとあさましいと評価が下がる。喧嘩とは、社会関係をベースにしたお互いの読み合いです」(同)
 怒りをほどよくぶつけつつ、どこかで理性的な判断を下していく。このさじ加減を、宮台さんは子ども時代の喧嘩を通じて学んだ。
だから、テレビ番組や学会での論戦中も、「相手が感情的になればなるほど、冷静に観察している」という。
「ぼくの少し下の世代から、怒り方も喧嘩の仕方も知らず、怒ることを怖がっている節がある。
喧嘩の仕方を身につけたほうが、コミュニケーションや人間関係が広がるはずです」(同)