往々、出生が人権侵害じみた様相を呈するのは、そこに出生当事者の出生拒否権
やニーズが全く反映されることなく、強制的に出生が遂行されてしまうからである。
逆に、出生したかったのに、中絶されてしまったケースもあるかもしれないが。

いずれにしろ出生当事者の意向を微塵も訊ねることもないまま為される出生は
倫理に反していると言えるだろう。出生が倫理に反するという意見は、倫理の
教科書でお目にかかることはないが、なせ、この一番肝心なことに触れない
のだろうか。

この世のあらゆる不幸は、出生さえしなければ、ほぼ完璧に防げると言えるのに、
なぜ、出生を慣習的に惰性的に継続させてしまうのか、と自明性に埋没せずに
真摯に問う姿勢こそが倫理的な態度である。