池田信夫 blog
2023年10月20日13:49
本

キリスト教は植民地支配とともに世界に拡大した


歴史的類比の思想

ガザをめぐる紛争をみていると、一神教がいかに凶暴で危険な宗教であるかを痛感する。
ヨーロッパ人はそれが典型的な「宗教」だと考え、世界の他の信仰をアニミズムとか
トーテミズムなどの「呪術」として蔑視したが、これは逆である。
最近の人類学も実証したように、枢軸時代までの宗教には、唯一神も教義もなかったのだ。

特に全世界を一つの神が支配するという一神教は古代ユダヤで2500年前に生まれたもので、
人類史の中で1回だけの出来事だった。それは特異なユダヤ人の選民思想だったので、
他民族には普及しなかったが、1世紀に生まれた「キリスト教」と自称する分派が
爆発的な成長を遂げ、世界最大の宗教になった。

今では同じくユダヤ教から派生したイスラム教と合わせて、世界の人口のほぼ半分が一神教である。
世界中に数百ある宗教の中で、たった一つの凶暴な宗教が、人類の半分を占めるに至ったのは
なぜだろうか。これについてはいろいろな説があるが、田川建三氏は植民地支配だという。

新約聖書はローマ帝国の共通語であるギリシャ語で書かれた。それはユダヤ教とは違い、
最初からローマ帝国の領内に布教する普遍宗教として生まれたのだ。最初ローマ帝国は
それを迫害したが、やがてキリスト教を国教とし、広大な帝国を支配するイデオロギーとして
利用した。その教義は、植民地支配に最適だったからだ。