博士論文 概要書
コミュニティの在り方と主体化の位相に関する考察
――社会的交換の視点から捉えた個人と社会――
清家 竜介

[第一章 贈与による互酬共同体の形成
まず、第一章の「贈与と互酬共同体」では、未開社会における「贈与(互酬)による共同
性の形成と諸個人の主体化(=従属化)」を論じる。
未開社会において、経済の自然状態ともいうべき「欲望の二重の一致の困難」というカオ
スは、「贈与(互酬)」という交換形式によって制せられる。その結果「互酬共同体」とい
う人間の経済が生じる。未開の互酬共同体は、「贈与の霊」という想像的対象に媒介された
贈物の贈答行為を基礎にして、財の循環が促される。
この贈答の連鎖は、経済学的な効用や利潤を目的にしているのではなく、名誉と威信をか
けた隣人達との「承認の闘争」にほかならない。また、贈答される財の中で最も重要な贈物
は、女性であった。未開社会における最も重要な財である女性の贈答という相互行為によっ
て、親族構造が決定される。この親族構造と首長制と結びついた財の「再配分」という社会
的形式が、互酬システムの骨格にほかならない。
祭祀・互酬共同体において「再配分」という交換形式は、首長制や宮殿経済などの備蓄シ
ステムによって担われた。未開社会の首長は、しばしば多くの妻を娶る特権を有していた。
複婚を許された首長は、贈与された妻の親族と互酬的な関係に入ることになった。…〕

じっさいは、↑のようなのが、交換様式A段階にあたるわけです。