反出生主義との比較
反出生主義は、新たな生命を生み出すことが苦しみを増やすとみなし、出生そのものを否定的に評価します。ベネターのような反出生主義者は、「存在しない方が苦しみがゼロであるのに対し、存在すれば必ず苦しみが伴う」と主張し、幸福の可能性よりも苦しみの確実性を強調します。この点で、古典的功利主義とは根本的な前提が異なります。
古典的功利主義では、人生が平均的に「净幸福」をもたらす(快楽が苦痛を上回る)と仮定する傾向があります。ベンサムやミルは、人間が合理的に幸福を追求できると楽観視しており、苦しみはある程度克服可能と考えていました。したがって、出生によって幸福の総量が増える可能性があるなら、それを支持する立場を取るでしょう。一方、反出生主義はこの楽観主義を否定し、「苦しみのリスクが大きすぎる」とみなします。