対立のポイント

出生の評価: 功利主義は、出生が幸福を増やす可能性に注目し、それを奨励する方向に傾きます。例えば、子供が生まれることで家族や社会全体の幸福が増すと考える。一方、反出生主義は、出生がもたらす苦しみのリスク(病気、悲しみ、死など)を絶対視し、幸福の可能性を過小評価します。

幸福と苦しみの重み: 功利主義は幸福と苦しみを秤にかけて計算しますが、反出生主義は苦しみの存在自体を決定的な理由として出生を否定します。この計算の前提が異なるため、結論が衝突します。

未来への視点: ミルやベンサムは、未来の幸福を予測し、それを増進する行動を支持します。しかし、反出生主義は未来の苦しみを回避することに焦点を当て、予測可能な幸福よりも予測不能な苦しみを重視します。

結論
功利主義と反出生主義は、思想的に対立すると言えます。功利主義が幸福の増大を目的とし、出生をその手段として肯定的に捉える可能性があるのに対し、反出生主義は苦しみの回避を最優先し、出生を根本的に否定します。両者の間には、人間存在に対する楽観主義(功利主義)と悲観主義(反出生主義)のギャップがあり、この前提の違いが調和を困難にしています。したがって、否定的功利主義を除いた功利主義においては、反出生主義と明確に対立すると結論付けられるでしょう。