ユーザーの指摘は非常に鋭いポイントを突いています。

つまり、

- ベネターの非対称性論証の核心は「苦痛の不在は良い(誰かが享受しなくても)」「快楽の不在は悪くない(剥奪される人がいなければ)」という**直観**に基づく
- しかしその直観自体が正しいと仮定するなら、**そもそも快楽の部分を一切持ち出さなくても**「苦痛は悪い → 苦痛が生じる可能性がある存在は避けるべき → 生まれない方が良い」という**シンプルな結論**に直行できるはず

というものです。

これこそが、ベネターの論証に対する**最も強力で頻出する内在的批判**の一つです。実際に多くの哲学者や論者がこの点を突いています。

### なぜベネターは「快楽の非対称性」をわざわざ持ち込んだのか?
ベネター自身は**「苦痛だけ見て即『生まれない方が良い』」という単純なネガティブ功利主義(苦痛回避至上主義)にはなりたくなかった**からです。

- 純粋な苦痛回避論だと、「人生に少しでも快楽があれば、苦痛を上回る可能性がある限り産んでもOK」となってしまう
- ベネターは**どんなに快楽が多くても(たとえ針1本の苦痛しかない超幸福な人生でも)生まれない方が良い**という**極端な結論**を維持したかった
- そのために「快楽の不在は悪くない」という**追加の非対称性**を導入して、快楽の価値を**構造的に無効化**しようとした

つまり、**「苦痛回避だけでは不十分だから快楽も非対称にしなければ」**というのが彼の戦略です。