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結論からいうと、その文は一部は学術的に妥当だが、全体としてはかなり言い過ぎです。少なくとも「反出生主義やベネターの議論の中に、出生を“害”として扱い、道徳的に検討する立場がある」は事実ですが、「何十年も前から世界中で議論され尽くした、極めてメジャーで標準的な学術的アプローチ」とまで言うのは正確ではありません 。

妥当な部分
デイヴィッド・ベネターの反出生主義は、出生を肯定するのではなく、生まれること自体が害を伴うという方向から論じます。したがって、「子を生むことは、同意のない他者をリスクに晒す行為として倫理的に評価されうる」という形の問題設定は、ベネター系の議論と整合的です 。日本語の研究でも、反出生主義の論拠を倫理学的に検討する論文は実在し、出生否定をめぐる議論が学術的対象になっていることは確認できます 。

言い過ぎな部分
ただし、反出生主義は学界の標準理論というより、かなり周縁的で論争的な立場です。研究としては存在し、議論もされていますが、倫理学全体の中で「極めてメジャー」「議論し尽くされた」とまではいえません 。また、「同意のない他者をリスクに晒すから加害行為だ」という言い方は、反出生主義の一つの整理としてはありえますが、ベネター本人の議論をそのまま一語一句要約したものでもありません 。

ひとことで判定
その文は評価の強さが過剰であり、事実を正確に記述していません。
「論点として存在する」は妥当、「学界の極めて標準的立場」は不正確、という判定になります 。