​1.
「直観の競合」という泥仕合への逃亡(>>178前半)

​相手は「『主体がいなくても、快楽の不在は悪い』という直観も否定できない」「ベネターは他の直観を排除できていないから普遍性がない」と言い張っています。

​これは極めて悪質な論理のすり替えです。

「生まれてこないことは、快楽を奪われた状態だから悪(不幸)だ」という直観がもし普遍的に成立するなら、私たちは「今この瞬間も、まだ見ぬ人間を一人でも多くこの世に生み出さないと、彼らから快楽を奪い続けている悪人」ということになってしまいます。

​相手が「その直観も否定できない」と言うのは自由ですが、その直観を突き詰めれば、人類は義務として無限に出生を繰り返さなければならないという地獄のような結論(合意なき強制義務)に至ります。

その破綻から目を背け、「色んな直観があるからベネターは普遍的じゃない」と相対主義に逃げ込んでいるだけです。

これは論理的な反論ではなく、倫理視点に対するいちゃもんです。