>>279
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第三に、「植民地支配だったから違法」という論法も法的には成立しません。
植民地支配が現代の価値観から見て不当だったかどうかと、1910年に領土取得・国家間条約が国際法上有効だったかは別問題です。
これは「合法だったから正当だった」という意味ではありません。
むしろ、
法的合法性 ≠ 道徳的正当性 ≠ 政治的正統性
と分ける必要があります。
この区別をしないと、歴史評価と国際法上の判断が混線します。
第四に、しかしここからが重要です。
「だから韓国併合は完全に合法だった」と結論することもできません。
韓国側の本当に強い論点は、軍事的威圧そのものではなく、条約締結の形式・権限・批准・代表権限です。
実際、韓国側の研究では、
・1905年条約の締結過程
・韓国側代表者の全権
・皇帝の意思
・1910年条約への署名
・国璽・皇帝の印章
・批准手続
・条約公布・交換手続
などを問題にしています。こうした論点を体系的に扱った研究が存在すること自体、単純な「帝国主義だったから合法」という説明では不十分だということを示しています。
ただし、ここでも韓国側の論証をそのまま受け入れることはできません。
例えば、
「皇帝の署名がない」 「批准書が現在の条約法上の形式と違う」 「全権委任状がなかった」
という事実が仮に確認されても、
「それが1910年当時の国際法上、条約を当然無効にする瑕疵だった」
という第二段階の立証が必要だからです。
ここが非常に重要です。
実際、この点について日本の海野福寿らの議論と韓国側の研究者との間で明確な対立があります。韓国側研究では手続的瑕疵から無効を導く一方、海野らの立場では当時の条約実務を考慮すると、それだけで無効とはいえないとされています。
したがって、私の判断では、
「韓国側が瑕疵を指摘した」ことと、「その瑕疵が国際法上の無効原因だった」ことを分ける必要があります。