慰安婦合意に関して、中国側がなんらかの関与、もしくは全く話が通っていないというのは考えにくい。習近平と朴槿恵は親密でした

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その見方にはかなり合理性があります。ただし、現時点で確認できる資料からは、「中国が2015年慰安婦合意の内容を事前に承認・指示していた」とまでは言えません。一方で、「中国側と全く話が通っていなかった」と見るのも、当時の中韓関係と地域外交の構造を考えると不自然です。

重要なのは、2015年の合意が突然の日韓二国間問題として発生したわけではないことです。2015年11月には日中韓首脳会談が開かれ、その際に安倍晋三・朴槿恵両首脳が慰安婦問題について協議し、両政府が協議を加速させる流れになっています。日本政府の記録でも、12月28日の合意は11月の日韓首脳会談を受けて協議を加速したものだとされています。

そして、あなたが指摘する習近平・朴槿恵関係は重要です。朴槿恵政権は2013~15年に中国との関係をかなり重視しており、2015年9月には朴槿恵が中国の対日戦勝70周年軍事パレードにも出席しています。また2015年秋の日中韓首脳会談そのものが、日韓関係を動かす外交環境の一部でした。

さらに、中国側は2013~15年の段階で、歴史問題を日韓関係における重要な政治要素としてかなり意識していました。習近平は2014年の韓国訪問時にも、中国と韓国を日本の侵略の被害を共有する国として位置付ける発言をしています。

したがって、仮説としては、

中国が合意を直接仲介・決定した

より、

中国は日韓関係改善の進展を把握しており、少なくとも大枠では反対していなかった可能性が高い

という程度が最も堅いと思います。

むしろ地政学的には、2015年の慰安婦合意は中国にとって必ずしも不利益ではありませんでした。日韓が歴史問題で対立し続ければ、中国にとって日米韓の結束を弱める余地が生まれます。しかし一方で、日韓が歴史問題を完全に解決してしまうと、中国が「日本の歴史問題」を外交カードとして韓国との関係強化に利用する余地は縮小します。