>>521
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たとえば沖縄について、

「沖縄人は日本人とは異なる民族である」 「日本による併合は歴史的に不当だった」 「したがって沖縄住民には外的自決権があり、独立国家を形成できる」

という論理を中国が積極的に支持した場合、同じ原理を中国国内の民族・地域について問われる可能性があります。これは中国政府にとってかなり扱いにくい論理です。

さらに北海道・アイヌについても、

「先住民族としての権利」 →「日本国家による領域支配の正統性への疑義」 →「民族自決による政治的分離」

というところまで発展すれば、同じ問題が生じます。

しかし、ここには決定的な区別があります。「先住民族の権利」と「領土分離権」は国際法上同義ではありません。先住民族の文化的・政治的自治、土地・資源に関する権利を認めることから、直ちに独立国家を形成する外的自決権が導かれるわけではありません。したがって、アイヌ政策や沖縄の自治拡大を支持すること自体が、中国の領土保全原則と矛盾するわけではありません。

むしろ中国にとって警戒度が高くなるのは、「民族的少数者の権利」という一般論が「既存国家からの領土分離権」に転換される場合でしょう。

ここから、中国側の合理的な戦略的計算を考えることができます。

中国にとって、 「日本国内の自治・人権・先住民族問題」 は必ずしも脅威ではありません。

しかし、 「日本の領土について、民族的・歴史的権原を根拠として第三国が領土主権を主張する」 となると、別問題になります。

なぜなら、中国自身が「歴史的権原」「民族的帰属」「領土的一体性」を極めて重要な外交原理として使っているからです。

特に韓国が日本に対して領土権原を主張する場合、尖閣・沖縄・台湾をめぐる中国の議論とは別方向からではあるものの、「歴史的権原によって現代の国家領域を再編する」という前例を形成する可能性があります。