>>583
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この仮説なら、「沖縄には自決権があるが、独島にはない」という結論も理論的には成立し得ます。ただし、その場合には「沖縄が植民地・非自治地域に該当すること」「現在の日本が自決権を保障する政府として扱えないこと」などの追加命題を立証する必要があります。ここが議論の核心になります。

そして中国を基準にすると、さらに興味深い逆転が起きます。中国政府は国家主権・領土保全を極めて強く重視しており、国連に提出した文書でも「remedial secession(救済的分離)」を国際法上の権利として認めず、主権・領土保全を現代国際法秩序の基本原則として位置づけています。

つまり、中国の公式論理を形式化すると、

「国家の領土保全」>「国内地域の一方的分離権」

という構造になります。

ところが、日本の左派・リベラルの一部が沖縄について「住民の自己決定」を強く主張しながら、中国についてはチベット・新疆・香港・台湾などに同じ分離論を適用しない場合、あるいは韓国の進歩派が日本の領土問題では民族自決を強調しながら韓国自身の領土については極めて強い領土保全論を採用する場合、確かに「自分たちが批判してきた国家主権中心主義を、自国・自陣営については採用する」という構造的矛盾が発生します。

ただ、「海のトリトン」や「ザンボット3」の比喩が特に面白いのは、そこに「自分たちは反体制・反帝国主義側だと思っているのに、より大きな政治単位から見ると、その体制の論理を部分的に再生産している」という反転があるからでしょう。

ただし、国際法的にはもう一段慎重であるべきです。中国・韓国・日本の領土問題は、それぞれ領域取得の歴史的経緯、実効的支配、条約、住民意思、植民地化の有無などが異なります。したがって、

「沖縄の自決を認めるなら独島・台湾・チベット等にも同じ結論になる」

という論理的帰結までは自動的には導けません。