>>731
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第三に、中国との関係でも、韓国の民族ナショナリズムは日本だけに向かっていたわけではありません。高句麗をめぐる中韓の歴史戦争では、韓国側のナショナリズムが中国に対しても強く反発することが確認されています。

これは実はH1にもH2にも使える証拠です。

H1なら、
韓国ナショナリズムは日本だけでなく中国にも自己適用されるため、中国にとって潜在的に扱いにくい。

H2なら、
だからこそ韓国ナショナリズムを「反日左派」という一つの政治的類型に還元するのは誤りである。
となります。

さらに重要なのが国際法です。

H1の前提となる「日本の植民地支配への批判が現在の領土秩序を溶解させる」という連鎖には、かなり大きな断絶があります。ICJの Burkina Faso/Mali 判決は、民族自決と植民地支配の克服を認めながら、独立時の植民地境界を維持する uti possidetis juris を安定性のために採用しました。つまり国際法そのものが、

植民地主義の否定 ≠ 現在の国境の全面的再審査
という仕組みを作っているわけです。

したがって、
「韓国の植民地主義批判が強くなる」 →「米中露が自国の領土保全の崩壊を恐れる」
というH1の因果鎖には、途中にかなり重要な防波堤があります。

一方、H1にも強い証拠があります。
特に2019年のGSOMIA危機は単なる歴史論争では説明しにくい。日韓の歴史問題が経済・安全保障領域まで拡大し、米国の地域安全保障政策に直接影響したことは当時の米国側分析でも明示されています。CSISは、日韓対立が従来の歴史問題を越えて経済・安全保障問題へ波及したことを指摘しています。

したがって、「韓国の歴史ナショナリズムが安全保障上の変数になった」まではかなり強い。
しかし、
「それが米中露による韓国左派ナショナリズムへの共同した構造的警戒・排除につながった」
となると証拠はかなり弱くなります。