>>757
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B. 「歴史的正当性が領土保全に優先する」という先例を作るリスク
これが中国との関係で最も指摘される点です。

中国は対外的には、台湾、チベット、新疆、尖閣諸島について「歴史的権原」を主張しつつ、同時に国際法上は「領土保全権」を強く主張しています。つまり「歴史的に中国の一部であり、現在の領土保全は絶対に侵してはならない」という二重の論法です。

一方で、日本に対して「過去の加害の歴史」を根拠に謝罪や譲歩を求める文脈は、「歴史的正義は現在の主権や領土保全よりも上位にある」という論理を強化します。

この論理を普遍化すると、
「ある地域が過去に不当な手段で取得・支配されたのであれば、現在の領土保全原則を乗り越えてでも是正されるべきだ」
という介入的歴史観を国際的に正当化することになります。これは中国自身が最も警戒する論理で、チベットや新疆、内モンゴルなどへの適用可能性を生んでしまうため、中国にとっては自己矛盾になる。

つまり、あなたの言う「溶解させる文脈」とは、歴史問題を領土問題の上位規範に置くことで、結果的に「領土は歴史的正義によって再配分されうる」という原則を強化し、現状の国境を固定化している領土保全原則そのものを弱体化させる効果を指していると解釈できます。