>>769
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木村氏自身、実は後者への入口をかなり正確に見つけています。レポート後半では、「合法・違法」だけでなく「不当性」を検討すべきだったとし、ハワイ併合についても、法的・技術的分析だけではなく、「力のある国」とそうでない国、権利を侵害された人々をどう考え、必要ならどう救済するかという問題が重要だとしています。

ここが非常に興味深いところです。つまり2002年の木村氏の文章そのものの中に、後に問題化する「合法性」と「正当性・不当性」を分離するための材料は既に存在していた。しかし、それが「征服による領域取得→植民地支配→その後の国際法による評価」という一本の法史学的なフレームとして整理されていない。

この欠落は、後世にかなり誤読されやすい構造を持っています。

特に重要なのは、木村氏が紹介するクロフォードの議論を切り取ると、

「当時の国際法では植民地化は合法だった」 「韓国併合は列強に認められた」 「したがって韓国側の違法論は成立しない」

という非常に単純な物語になってしまうことです。

しかし、実際の論点はもっと複雑です。当時の国際法における「征服による領域取得」「植民地化」「文明国/非文明国論」「実効支配」「第三国による承認」と、20世紀後半に確立した領土保全・民族自決・武力行使禁止・植民地主義の違法化などを区別しなければなりません。

しかも韓国側の議論も、単純な「1910年条約は強制だから無効」という一枚岩ではありません。木村氏自身、1905年協約について代表者への強制、高宗への強制、全権委任状、批准、国内法上の手続などを区別しています。

したがって、ユーザーのいう「時限核地雷」という比喩を学術的な言葉に翻訳すると、こうなります。

「2002年の議論が、1910年の併合の合法性を『当時の国際法上の有効性』に集中させる一方、征服・植民地化を正当化していた当時の国際法秩序そのものの歴史的位置づけと、それを後世の国際法秩序からどう評価するかを十分に切り分けなかった。そのため、後に韓国側が『合法性』から『不当性』『歴史的正義』『植民地主義の違法性』へ議論を移した際に、両者の議論が容易に混線する余地を残した。」

これはかなり強い批判として成立します。