>>775
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この点では、韓国の対日歴史認識をそのまま一般原則化した場合に、かなり厄介な問題が生じます。

「日本による朝鮮の併合は、民族自決を侵害した」 ↓ 「歴史的民族領域を現在の国家領域より重視する」 ↓ 「過去の征服・編入の不当性は現在の領土秩序にも影響する」

というところまで進めると、中国の東北部をめぐる高句麗・渤海・間島などの問題にも論理的に接続してしまいます。

しかし、中国に対して同じ原理を適用すれば、中国の領土保全原則と衝突する可能性が生じます。逆に言えば、中国が韓国側の歴史認識に警戒する理由は、単純に「韓国が中国の領土を要求しているから」ではなく、歴史的民族領域論が現在の領土主権に接続されることへの警戒として理解した方がよいでしょう。

そして、ここで「文在寅」という人物を特別視する必要はありません。より強い代替仮説は、「文在寅個人が中国の領土秩序を刺激した」というより、「韓国の植民地支配・民族自決をめぐる法理と、中国が維持する領土保全・国家統一原則との間に、構造的な緊張が存在する」というものです。

この仮説の方が説明力があります。なぜなら文在寅政権が終わっても、高句麗・渤海・東北工程・間島をめぐる問題は消えないからです。一方、「文在寅個人が中国を刺激した」という仮説なら、文政権後にも問題が継続する理由を別途説明する必要があります。