近年あった民法大改正についての論点の解説
内田貴はフランス民法典のように具体的に法律を記述するべきだと主張したのか?


Gemini

結論
​民法学者であり、2017年成立(2020年施行)の民法(債権法)大改正を主導した内田貴(東京大学名誉教授)の主張は、「フランス民法典のように具体的に記述すべきだ」という方向性ではなく、むしろその逆、あるいは文脈が異なります。
​内田が主張したのは、従来の日本民法(ドイツ民法典モデル)に特有の**「抽象的な一般原則のみを置き、解釈は判例に委ねる」というスタイル(「見えない法」)を脱却し、すでに判例や実務で確立しているルールを「条文として明文化(可視化)すべきだ」**という点です。
​他方、近年のフランス民法(2016年の債務法改正など)は、日本の改正と同様に「判例法理を取り込んで条文を近代化・可視化する」という共通の潮流(契約法の国際標準化)のなかにあります。内田がフランスの手法そのものを直接のモデルとして「具体化」を求めたわけではなく、**「国民や国際社会にとってわかりやすい明文化(判例の条文化)」**を求めたというのが正確な論点です。
​根拠・事実
​内田の著書(『民法改正―契約法のあるべき姿』など)および法制審議会での議論から、彼の主張の論理構造と背景は以下のように整理されます。
​1. 「判例法主義」から「成文法主義」への実質的転換
​現状認識: 明治期に制定された日本民法(特に債権法)はドイツ民法典の影響を強く受け、極めて抽象的な条文で構成されていました。そのため、実際の取引ルールは100年以上の「最高裁判例の積み重ね」によって運用されており、条文を読んだだけでは法律がわからない状態(「見えない法」)になっていました。
​内田の主張: 判例として確立しているルールは、すべて民法典の条文の中に書き込むべきである(民法典の「可視化」)。これにより、一般の国民や、日本と取引を行う外国企業にとっても予見可能性(見通し)が高まると主張しました。