>>898
Gemini

2. 二つの論争における「構造の類似性」
​明治の民法典論争と、平成~令和の民法大改正論争には、いくつかの明確な共通軸が存在します。
​① 「国際標準(グローバル・スタンダード)」の導入と反発
​明治: 不平等条約の改正(関税自主権の回復や領事裁判権の撤廃)のために、欧米諸国に見せられる「近代的な民法典」を急いで作る必要がありました。フランス法をベースにした旧民法が作られましたが、「日本の良俗に合わない」と猛反発を受けました。
​近年: グローバル化するビジネスに対応するため、国際私法統一機関(UNIDROIT)の「国際商業契約原則」などのグローバル標準をベースにした改正(内田貴らの思想)が推進されました。これに対し、「日本の伝統的な取引実務や信頼関係の倫理を壊す」という反発が生じました。
​② 「民法学者(学理)」vs「実務家(裁判官・弁護士)」の対立
​明治: 主に「フランス法派(断行派)」と「イギリス法派(延期派)」の思想的・学問的対立として始まり、最終的には政治闘争に発展しました。
​近年: 「世界の最先端理論を条文に明文化したい民法学者」と、「これまでの判例や実務慣行の柔軟性を維持したい弁護士・最高裁・経済界(実務派)」の激しい対立が法制審議会で繰り広げられました。
​③ 「形式の明文化(成文法主義)」をめぐる攻防
​明治の論争を経て作られた現行民法は、あえて「抽象的な一般原則」を置き、具体的な解釈は裁判所の判例に委ねるシステム(判例法主義の要素)を選択しました。
近年の大改正は、まさにその明治の選択によって**「条文を見てもルールがわからない」状態になったものを、もう一度「条文にすべて書き込む(成文法主義へ戻す)」という試み**であったため、歴史の円環のような関係にあります。