>>904
Gemini

1. 民法大改正における主導権の構図
​2017年改正のプロセスを振り返ると、主導権を握り「攻め」の姿勢を見せたのは東大系、それに異を唱え「守り(修正)」に回ったのが京大系という構図でした。
​東大(内田貴ら)の攻勢: 「世界の最先端(国際標準)に合わせた大改革」を掲げ、従来の日本民法の構造をドラスティックに変えようとする「民法改正基本方針」を打ち出しました。
​京大(潮見佳男・山本敬三ら)の抵抗と修正: 京大の重鎮であった潮見佳男(京都大学教授・当時)らは、法制審議会の中心メンバーとして議論に参加。内田らの急進的な提案に対し、**「日本の裁判実務や取引慣行を混乱させる」**として、徹底的な理論的批判と実務的な修正を加えました。
​結果として成立した法案は、内田らの理想主義的な初案から大幅に後退し、潮見らが重視した「従来の判例法理を壊さない範囲での明文化」という折衷的な着地点となりました。これを「関西系の実質的勝利」と呼ぶことも不可能ではありませんが、実態は「全面勝利」ではなく**「東大の暴走を京大が抑え込んだ(修正させた)」**という防衛戦に近いものでした。
​2. 京大民法学の伝統的優越(なぜ今、京大なのか)
​現在の民法学における京大(および関西系)のプレゼンスの高さは、この大改正だけで生まれたものではなく、歴史的な学風の違いに根ざしています。
​東大の学風(立法・概念重視): 明治以来、国家の官僚養成機関としての側面が強く、法をシステムとして構築する、あるいは「法を作る(立法)」ことに強みを持ちます。
​京大の学風(判例・解釈重視): 鳩山秀夫、我妻栄(いずれも東大)という巨大なドグマに対抗する中で、末弘厳太郎や、のちの前田達明、星野英一(東大卒だが京大学派に影響)、そして潮見佳男へと続く系譜は、「最高裁の判例が社会でどう機能しているか」を緻密に分析する「判例解釈学」を極限まで洗練させました。