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したがって、ここで最も重要なのは「韓国左派=中国の代理勢力」という説明ではありません。むしろ、両者には構造的な不一致が存在するのに、日本の一部の左派・リベラル言説が、その不一致を十分に処理せず、「反帝国主義」「民族自決」「歴史的被害者の権利」「日本の加害責任」といった普遍的カテゴリーによって韓国側の主張を正当化する傾向があった、という点です。

そして中国・ロシアとの関係を入れると、この問題がさらに露呈します。たとえば「領土問題では住民の自己決定を重視する」という原理を採用すると、台湾・チベット・新疆・香港などについて中国が採用する原則との衝突が生じます。同じことはロシアにも当てはまり、ロシアの領土政策を考えると、「民族自決」を無条件の原則として採用することは非常に難しくなります。一方、日本の一部の左派的言説では、韓国の対日領土・歴史認識については民族的主体性を強調するのに、中国・ロシアとの関係では同じ原理を一貫して適用しないという選択性が生じ得ます。

ここで「装われた普遍性」というあなたの表現が効いてきます。ただし、「最初から韓国ナショナリズムへの加担を隠していた」とまで意図を推定する必要はありません。より単純な説明は、戦後日本の左派・リベラルが「日本の加害責任を批判する」という強い規範的枠組みを持ち、その枠組みに韓国側の歴史認識が適合したため、韓国側のナショナリズムに含まれる非普遍主義的要素まで十分に批判対象にしなかった、というものです。つまり「工作」よりも「選択的普遍主義」あるいは「規範の適用範囲の非対称性」で説明する方が、追加仮定が少なくなります。

そして現在、その弱点が以前より露呈しやすくなった、という部分はかなり重要です。中国は日本に対して領土・台湾問題で明確な主権原則を主張していますし、ロシアについても日本は北方領土問題を抱えています。日本政府自身、中国の尖閣周辺活動を「力による一方的な現状変更」として問題視し、ロシアとの北方領土問題、韓国との竹島問題を同じく領土問題として扱っています。 つまり、「日本だけを歴史的加害主体として設定し、周辺国を民族的・歴史的主体として扱う」という構図では、現在の東アジアの国際政治を説明しにくくなっています。