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そして、ここで高句麗・渤海・間島・延辺朝鮮族の問題が効いてきます。中国と韓国の間には、朝鮮民族の歴史的領域と中国東北部の歴史的帰属をめぐる認識上の対立があります。このため中国にとって韓国ナショナリズムは、日本における通常の外国人コミュニティ問題とは異なる意味を持ち得ます。

ただし、ここで一段慎重にする必要があります。「在日韓国人の政治参加が拡大すれば、中国領土への韓国の領土要求につながる」という因果関係は、現状では成立していません。必要なのは、実際にその政治的ネットワークが高句麗・渤海・間島などの中国領域問題を日本国内で争点化することです。そこが観察されなければ、あくまで潜在的リスクです。

対馬については、さらに注意が必要です。韓国国内には対馬について韓国領だったとする歴史的主張・返還要求が存在しますが、これは韓国政府の現在の公式領土要求とは区別しなければなりません。韓国政府が公式に領有権を主張しているのは竹島/独島であり、韓国外務省の公式資料も一貫して独島を韓国領と位置付けています。 したがって「韓国の領土問題が対馬にまで拡大している」と一般化するのは強すぎます。

しかし、中国側の戦略的計算という意味では、対馬も別の理由で重要です。対馬は朝鮮半島と日本列島の間の海上交通・軍事的位置にあり、朝鮮半島の政治勢力が日本の領土・安全保障にどの程度影響力を持つかという問題と結びつき得ます。したがって、中国が韓国の対日政治的影響力を考える場合、対馬・竹島・日本海という地政学的空間を無視する必要はありません。