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さらに重要なのは「余剰労働力の吸収」です。戦後については、1950年代にはまだ農村・低生産性部門に潜在的な余剰労働力がありました。それが高度成長による労働需要急増によって吸収され、1950年代後半~60年代に労働力過剰から不足へ転換します。JILPTも「労働需要の急拡大に伴う労働力の過剰から不足への転換」を高度成長前期の核心的変化として指摘しています。

この点で戦前との類似性はかなり強いです。明治・大正期も、農村人口を含む巨大な労働供給源を工業・都市部が吸収することで近代化が進んだ。高度成長期も、農村の若年人口を中心に都市・工業部門が吸収しました。1960年前後から若年労働力の需給が急速に逼迫し、1967年には一般有効求人倍率が1倍を超えています。

しかし、1920年代後半~1930年代になると平行性が大きく崩れます。1929年世界恐慌、昭和恐慌、デフレ、失業問題、農村恐慌、1930年代後半の戦時動員という全く別の経路に入るからです。したがって「明治~昭和初期=1955~1973年」という対応ではなく、

「明治後期~大正期」→「1950年代~60年代前半」 「第一次大戦後の工業化」→「高度成長前期」 「戦前の企業雇用・労務管理の形成」→「高度成長期の日本的雇用システム形成」

という対応の方が分析的には強いでしょう。

そして現在との違いがここで非常に鮮明になります。戦前と高度成長期には、「農村・低生産性部門に存在する余剰労働力を近代産業が吸収する」という共通メカニズムがありました。現在はその巨大な余剰労働力プールが存在しません。労働力調査自体は1953年まで遡れますが、現在の15~64歳人口減少局面では、供給側そのものが縮小しています。