ラ・セーヌの星のラストはある意味で意味深

Gemini

アニメ『ラ・セーヌの星』のラストシーン(最終話「さようならパリ」)は、フランス革命という激動の歴史と、フィクションとしてのヒーローものの落としどころが複雑に絡み合った、非常に深い余韻と示唆に富む結末となっています。
このラストが「意味深」と感じられる理由は、主に以下の3つの構造的・思想的な対立と選択に集約されます。
1. 「革命の理想」と「現実の泥沼」からの脱出
物語の終盤、シモーヌ(ラ・セーヌの星)とロベール(黒い重友)は、長年倒そうとしていたルイ16世とマリー・アントワネットの処刑という歴史的局面に立ち会います。しかし、王政が倒れた後に訪れたのは、恐怖政治へと突き進む民衆と過激派(ロベスピエールら)による新たな混乱と殺戮でした。
二人は「絶対悪としての王政」を倒せば平和が来ると信じて戦っていましたが、実現した革命の姿は理想とは程遠いものでした。最終的に彼らは、異母姉であるマリー・アントワネットから託された幼い遺児たち(マリー・テレーズとルイ・シャルル)を連れ、パリ(=政治と歴史の中心)を捨てて新天地(スイス)へ去るという決断を下します。
これは、理念としての革命に絶望したというよりも、「政治的勝利やイデオロギーよりも、個人としての生命と愛を守る」という、極めて現実的で人間的な脱出であったと言えます。
2. 「ルイ16世の落とし胤」という宿命の拒絶
シモーヌは物語の中で、自分がルイ15世の貴賤結婚による娘であり、マリー・アントワネットの腹違いの妹であるという血統の秘密を知らされます。
つまり彼女は、「王家の血を引く者」でありながら「民衆のヒーロー」として戦ったという究極の矛盾を抱えていました。
もし彼女がパリに留まり続ければ、革命派に王家の一族として処刑されるか、あるいは逆に反革命派に担ぎ上げられて政治闘争の道具にされる未来しかありませんでした。剣を捨て、仮面を脱ぎ、子供たちを育てる市井の人として生きる道を選んだことは、歴史の呪縛や血統の運命から自らを解き放つ唯一の選択でした。