『大地の歌』はマーラーの音楽美学の精華だと思う。終楽章が長い? こんな短い30分があるかよ。
「告別」の真ん中あたり、マンドリンが三連符で「てとと、てとと、てとと、てとと」とさざ波のような下降音形の繰り返しをつま弾き始めるところ、
何度聴いても泣けてくる。この世からこの世ならぬところへ向かう転回点。9番で言うとやはり最終楽章の真ん中あたり、ハープが朴訥に
「とてとて、とん、てん、とてとて、とん、てん」と、天上の妙なる楽か、あるいは底知れぬ暗黒への誘いか、と問いかけたくなる音形を奏でるところと
似たような感慨。