新国もなんやかんやいっても20年の歴史があるわけだ。

個人的に、新国でみた蝶々さんのなかでベストは誰か、と問われれば
これはもう、ぶっちぎりで林康子だ。

新国ができて間もないころだったから、おそらく20年くらい前の公演だったかな。
林の舞台は次元が違っていた。

キャリアの最晩年であったため、声のほうは衰えをかくせなかったものの、
舞台上の所作、立ち居振る舞い、そして劇全体の持って行きかた、
ありとあらゆるものが別次元で強烈な印象として残っている。
このレベルになると、歌がどうこう、演技がどうこうっていう話じゃねえんだよ。

例えば、今日の蝶々さんは舞台上のあちこちを動き回っていたが、
林の場合はほとんど動かなかった。動く必要がないんだね。 

だから、今日、蝶々さんを演じた歌手の人に言いたい。
欧米で蝶々さん役としてそこそこの評価を得たからっていって満足してほしくはない。
三浦環は知らねえが、少なくとも君らの先輩にはすごい人達がいたってことだ。
だから蝶々さんを歌うのであれば、諸先輩をこえるレベルまで極めてもらいたい。
もちろん、それができると期待しているからこそ言っているんだぞ。
がんばってくれい。