60年代に入って、サーフサウンドブーム、そしてビートルズに代表されるブリティッシュ・インヴェイジョンが起きると、
状況は一変した。アマチュアの間でバンドブームが起きた。聴く音楽、踊る音楽から、プレイする音楽へ。
これと共に、LM楽器はたちまち「売れ筋商品」となった。一機種の年間売上台数が、万の単位に乗る。
これでは、今までのようなクオリティーを維持することが難しい。木材の選び方も効率重視になる。
作り方も、機械化を進め、流れ作業の工場で大量生産することになる。これでは品質が維持できるわけがない。
70年代に入ると、ロックレボリューションと共に、イギリスや日本でもアマチュアバンドが続々と生まれた。
もちろんそんなアマチュアプレーヤー達は、安価だった当時の日本製ギターの顧客だったが、
ギブソン、フェンダーというブランドに憧れ、アメリカ製の「本物」を求めるユーザーも桁外れに増加した。
こうなると、ギターそのものもモデルチェンジし、内部の構造を大量生産を前提としたものに改めざるをえない。
これが、70年代のレスポールやストラトキャスターの正体だ。格好は似ていても、中身は似ても似つかない「自家製コピーモデル」。
この「商業主義への妥協」が、結局はヴィンテージギターブームを生むきっかけとなったのだから、皮肉なものだ。

これはギブソンでもフェンダーでも基本的に同じだ。しかしフェンダーはギブソン以上に影響が大きい。
フェンダー社は、65年を境にCBSに売却され別の会社になったからだ。
CBSは直接楽器とは関係がないが、エンターテイメント業界の関連ビジネスで、成長率が高いということから、投資としてフェンダー社を買収した。
彼らは、楽器作りには興味がない。彼らの関心は「金儲け」だけだ。当然、利益や効率が優先され、
楽器メーカーとしての良心はないがしろにされることとなる。
CBSに買収されてからの、65年以降のフェンダー製品は、もはやそれ以前フェンダーのような「楽器」と呼べる代物ではない。