■ 論点:反出生主義に潜む「倫理的選択性」

こうした主張は以下のような問題点に繋がります:

1. 懐疑の一貫性の欠如
 → 全ての「当たり前」を平等に疑う哲学的姿勢がない。

2. 道徳的な自己正当化の構造
 → 「生まない自分は倫理的に正しい」とするために、「苦痛=絶対悪」という前提を疑わない。

3. 他者への暗黙の押し付け
 → 「当たり前を疑え」と言いながら、別の“当たり前”を無自覚に押し付ける。


■ 結論:問い直されるべき「懐疑」の態度

反出生主義が一部の“当たり前”にだけ懐疑のメスを入れ、他の“当たり前”を見直さないのであれば、それは本当の意味での哲学的態度とは言えません。

懐疑とは常に自分の信じるものにこそ向けられるべきであり、もしそれを他者にだけ向けるのであれば、それは思想というより信仰、あるいは自己肯定の装置に過ぎないのかもしれません。