>>94
改めてズレてる事を示す

1. 意識改革の矛盾と射程理論
批判の主張
反出生主義の射程は非存在に向けられており、意識改革は射程外の行為(存在者への伝播)なので矛盾ではない。倫理の伝播と倫理そのものの射程を分離すれば矛盾は消える。

反論
確かに倫理の射程と伝播の射程を分離することは理論的には可能である。しかし、ここで問題なのは、実践行為が反出生主義の「理念上の効果対象(非存在)」に到達できないという根源的な機能不全である。意識改革が唯一可能な行為でありながら、理念の本質的目的に直接貢献しないのなら、それは実践不全、つまり倫理理論としての破綻である。
また、存在者に働きかけることでしか射程外の対象(非存在)に影響を及ぼせないという点で、理論と手段の間に機能的断絶がある。この断絶がパラドックス(実践的ジレンマ)の核心である。


2. 中絶の射程と矛盾
批判の主張
中絶は理論的に反出生主義と一線を画し、理念的延長とみなすべき。容認なら矛盾は生じない。

反論
理念的延長とはいえ、反出生主義者が中絶を積極的に推奨する際、「既存の生命(胎児)」を射程に含める判断が必要となる。これは理論の核心である「非存在」を対象とする枠組みからの逸脱であり、理論の拡張や混同を内包する。
また、胎児を「非存在」として見るか「存在」として見るかという境界問題は、理論内部で整理されていない。このような曖昧な対象設定を理論に取り込もうとすれば、理論的整合性を失うリスクが生じる。中絶の倫理的是非は別として、反出生主義の理論内で位置づけるのは困難である。